地元ライター発信!壱岐旅ブログ
田植え風景と田んぼめぐり ―― 壱岐の恵みはこうして始まる
全国的にお米の価格が上がっている昨今、改めて「食べ物を自分の手で育てる」ことの大切さが注目されています。
ここ壱岐島は、“自給自足の島”とも呼ばれるほど、食の豊かさに恵まれた場所。なかでもお米作りは、昔から島の暮らしの中心にあります。農家さんはもちろん、家族で小さな田んぼを守っている方も多く、初夏の今は島じゅうの田んぼが動き出す季節です。
今回はそんな壱岐の「田植え風景」と、壱岐の田んぼの美しい景色をめぐる、初夏の小さな旅をご紹介します。
掲載日:2025年06月05日
ライター:壱岐旅編集部
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壱岐の地形とお米づくりの歴史
壱岐島は、自然がとても豊かで、害獣被害も少なく、農業にぴったりな場所です。特に島南部にある広い平野"深江田原(ふかえたばる)"は、長崎県で2番目の広さを誇ります。弥生時代の遺跡である原の辻遺跡で水田の跡が発見されたことから、なんと2000年以上前から稲作が行われていたことが分かっています。
室町時代末期に平戸松浦藩の領地となった壱岐。肥沃な土地で米づくりが盛んでしたが、厳しい年貢を納めると米はほとんど残りません。江戸時代には、平戸藩6万石のうち約2万石を壱岐の米と鯨組が担っていたと言われています。
農民は年貢の対象外だった麦を主食とする傍ら、人々は麦を主原料に米麹を使い、大陸から伝来していた蒸留技術を用いて、麦焼酎を造り始めます。それが壱岐の特産品である麦焼酎(壱岐焼酎)のはじまりです。
春から初夏にかけて、壱岐島では水をたたえた田んぼが鏡のように空を映し出し、秋には黄金色に染まった稲穂が風に揺れて波打つ、そんな美しい田園風景が広がります。一方で、麦畑もまた壱岐の季節を彩る存在です。5月には麦が黄金色に色づき、6月には収穫期を迎えます。
この時期には、水を張った田んぼと麦畑の黄金色が並び、どこまでも続く広い空とのコントラストが、まるで日本の原風景のような光景を生み出します。壱岐ならではの、のどかで美しい農の風景に、きっと心が和むはずです。
今しか見られない田植え風景〜壱岐の農家さんを訪ねて〜
春風が心地よいある日、壱岐市の芦辺町に広がる田園へ。
今回は、島内の農家さんを訪ねて、ちょうど始まったばかりの田植えの様子を見学させていただきました。
最近の田植えでは、最新の農機を駆使しながら、リズムよく苗を植えていくプロフェッショナルな作業風景が広がります。その一方で、端の方の植え込みや苗の整え方、水の管理には、人の目と経験がものを言う…。島の恵みを育てる農家さんたちの真剣なまなざしから、壱岐の農業の奥深さと誇りを感じます。
田園風景広がる深江田原エリアは、壱岐の中でも特に広々とした水田地帯。四季の風景も美しく、春の田植えシーズンには空と水面が一体となるような、まるで鏡のような風景が見られます。夜には星空、朝には朝日が水面に映りこみ、まさに「壱岐の田んぼ道」の醍醐味を味わえる場所です。
壱岐の食と風景の源を感じられる、特別な時間。観光の途中に、こうした農の現場に触れてみるのもおすすめです!
壱岐の恵みはこうして始まる
田植えの季節は、島の“いのち”のスタート地点。
水を湛えた田んぼに苗が根を張り、太陽と風に育まれて、やがてたわわな稲穂が実る…
そうして島の恵みが、ゆっくりと、けれども確かに育まれていきます。
原の辻ガイダンスでは、毎年お田植祭や刈り入れ祭などの「王都米づくり体験」プログラムを実施し、
古代米の育成や合鴨農法を実践されています。
収穫したお米は、原の辻ガイダンス内のカフェ「ひこひなもり」にてお召し上がりいただけます。
古代の壱岐でどのように米作りをしていたのか…体験してみたい方はいらっしゃいませんか?
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ちょっとお立ち寄り☕🌾
カフェ ひこひなもり
田んぼ散策を終えて疲れた体にエネルギーチャージ。原の辻遺跡の横でのんびりとした島時間を感じながら、ランチやカフェはいかがですか。ランチメニューには、壱岐産の古代米を使った定食やカレーに加えて、一支国牡蠣バーガーなど、ご当地感たっぷりのメニューが揃っています。壱岐の風景と味覚を、セットで満喫してみてください。
📍場所:壱岐市芦辺町深江鶴亀触1092-5
🚗 駐車場あり 🕒 水曜・日曜定休日 ※臨時休業の場合がございますので、事前にお電話でご確認ください。
壱岐の田んぼ道を歩く
壱岐といえば海のイメージが強いかもしれませんが、実は島の内側には、心がほどけるようなのどかな田園風景が広がっています。
青空と田んぼが溶け合う風景、朝日や星空が水面に映る瞬間、そんな景色に出会えるのも、壱岐ならではの魅力。
まるで映画のワンシーンのような田んぼ道を、カメラ片手にゆっくりめぐってみませんか?
この風景の中に、きっと、あなただけの壱岐の物語が見つかるはずです。
さあ壱岐へ、旅にでよう
壱岐の田んぼでは、今も昔も変わらず、たくさんの手間と愛情がかけられています。
きらきらと光る水面に空が映る田園風景、美しい棚田に吹くやさしい風、そして手のひらですくった瞬間に感じる、お米一粒ひとつぶの重み。
島で出会う「壱岐米」は、ただの食材ではなく、この土地と人が育んできた物語そのものです。
あなたもぜひ、壱岐を訪れて、この物語にふれてみませんか?
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注目野菜🥔壱岐黄金
今壱岐でじわじわと話題を集めているのが、ブランドじゃがいも「壱岐黄金(いきこがね)」。名前の通り、皮も中身も鮮やかな黄色をした、ちょっと特別なじゃがいもです。壱岐黄金は、見た目だけでなく、甘みとコクも段違いで、加熱するとホクホク、なのになめらかな舌ざわりが楽しめます。煮ても焼いても形が崩れにくく、料理の主役にもぴったり。初夏から秋(7月〜9月頃)が旬の時期で、壱岐島内の直売所や道の駅、お土産屋さんなどで出会えるかも? 生産量が限られているため「見つけたら即買い」がおすすめです。また、勝本町のヒヨリミテラスでは黄金を使ったモンブランを販売しております。
お米だけじゃない、壱岐のもうひとつの“食の宝”。自然の恵みをたっぷり受けて育った壱岐黄金、旅の思い出に、ぜひ味わってみてくださいね。