壱岐麦焼酎ベースの"クラフトジン"とは?-1

壱岐麦焼酎ベースの"クラフトジン"とは?

今、世界的にも注目を集めている”クラフトジン”。
壱岐島で壱岐麦焼酎をベースにしたクラフトジンの製造をスタートした2つの酒造会社があります。
「JAPANESE IKI CRAFT GIN KAGURA」の”壱岐の蔵酒造”、「OMOYA GIN」の”重家酒造”を取材し、クラフトジン開発のきっかけ、製造方法、材料(ボタニカル)など詳しく伺いました。

壱岐と言えば、麦焼酎!!

壱岐は500年もの歴史を誇る、麦焼酎発祥の地です。
『壱岐スーパーゴールド22』『壱岐っ娘』『海鴉』『守政』『雪州』『天の川』『猿川』など壱岐に来たことがなくても、焼酎の銘柄は飲んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。現在も”七蔵”の焼酎蔵元があり、伝統の製造法を守りながら独自の個性や美味しさを追求し続けています。

島内では2013年に「壱岐焼酎による乾杯を推進する条例」が制定され、島民自ら壱岐焼酎の消費拡大や普及に貢献しています。壱岐の居酒屋では、あちこちで『壱岐焼酎でかんぱーい!!』という声が聞こえるかもしれません?!

『GIN(ジン)』とは??

ジンはウォッカ、テキーラ、ラムと並んで、世界4大スピリッツ(※)に数えられるお酒です。クリアで雑味の少ない味わいから、カクテルのベースとして人気です。「ジントニック」「ジンバック」「マティーニ」「ギムレット」など、お酒を飲む人なら聞き覚えのあるカクテルではないでしょうか。
ジンはベースとなる蒸留酒に、ねずの実(ジュニパーベリー)をはじめとした「ボタニカル」と呼ばれる香草・薬草類を加え、再蒸溜して造られます。
ジンの香りづけに欠かせないボタニカルの種類はじつに様々。種子や木の根のスパイス、ハーブ、レモンやオレンジなどの柑橘類の皮を乾燥させたものなどが主流です。
最近は、その土地ならではのボタニカルを使った”クラフトジン”がトレンドになっていて、地元の農作物を使った多種多様なジンが国内外から出ています!
今回ご紹介する壱岐の”クラフトジン”は、ベースとなる蒸留酒に”麦焼酎”が使われています。

※スピリッツ…醸造酒からアルコール分を蒸溜して造られる蒸溜酒

壱岐の蔵酒造「JAPANESE IKI CRAFT GIN KAGURA」

2020年4月、新型コロナウィルス感染症拡大により緊急事態宣言が発令され、観光客が激減していた壱岐島。湯本温泉の高級温泉施設『壱岐リトリート海里村上』の支配人から「壱岐の経済のために共同しよう!!」と呼びかけがあり、プロジェクトがスタート!2社で協議をする中”和食に合うクラフトジン”を開発することが決定。
ちょうどその時期、世の中に手指消毒用アルコールが不足し、厚労省及び国税庁が規制を緩和したことをきっかけに消毒用アルコールを製造を始めました。再蒸留するという点は、”クラフトジン”と同じ技術を要するものだったので、予行演習になったそうです。

”SDGs未来都市”に選ばれた壱岐市の企業として、「フードロス問題」も意識してボタニカルを選定。年間30万トンも廃棄されるアスパラガス、少しでもキズが付くと売り物にならないイチゴ、柚子胡椒の材料として皮だけが使われ、廃棄されていた柚子の果汁を使用しています。『海里村上』とのコラボ商品なので、ホテルの料理に使われるウニの殻や、ホテルの温泉成分の結晶もスパイスとして加えました!!
また、フードロスが起きている現状を多くの方に知っていただくことと、壱岐の生産者・商店の方々の少しでも手助けになればと”壱岐グルメ×クラフトジン”のクラウドファンディングを実施しました。
ボトルデザインは、『壱岐の蔵酒造』の社員で絵が得意な大庭さんが担当。壱岐の美しい海をイメージしたブルーボトルに神楽のイラストと、壱岐らしさが詰まったデザインが好評です。

壱岐の魅力が詰まった”クラフトジン”が完成!

開発にかけた思いを壱岐の蔵酒造 代表取締役 石橋福太郎さんに伺いました。

ーどうしてGINを作ろうと思ったのですか?
『海里村上』で働く島外出身者から「壱岐に来て焼酎を飲んで感動した」「焼酎=おじさんのイメージを覆したい」という意見が出て、”壱岐の麦焼酎を使ったクラフトジン”を思いつきました。

ーGINを作る上で大変なことはありますか?
県の試験場で試作を作り、実際に自社工場で作るときにどんな風に出来上がるのかとても不安でした。試作と同じ味に仕上がるとは限らないですから。しかもクラウドファンディングはスタートしていたので、失敗は出来ません。実際に飲んだ時には、イメージ通りに味、香りが出来上がっていてほっとしたというのが本音です。

ー飲まれた方からの反応は?
「美味しかったのでまた買おうと思ったら、なかった」というお声が多かったです。嬉しい悲鳴です。次回は安定した供給が出来るように製造したいです。

ーおすすめの飲み方は?
トニックウォーターと合わせて”ジントニック”や、炭酸で割って飲むのがオススメです。お湯割りや緑茶割りにすると、焼酎に近いような味わいになります。

ーどんなお料理と合いますか?
”和食に合う”というテーマです。『海里村上』では天ぷらや壱岐牛と一緒に提供しています。素材を味わう和食の美味しさを引き立ててくれます。

ー他社のGINを飲みましたか?感想は?
飲みたいんですけど、まだなんですよ。

ーどこで買うことが出来ますか?
限定200本の商品だったので現在は完売しており、来春にまた販売予定です。その際には自社工場直売所、酒屋、また公式ホームページからネット販売も行いますので、しばらくお待ちいただけると幸いです。

重家酒造「OMOYA GIN」

伝統的な手法を大事にしながらも新しい手法を取り入れて麦焼酎を造り、近年では壱岐での日本酒造りを復活させた『重家酒造』!!
何とか若い人に麦焼酎に興味を持ってもらえないかと、新たに目を付けたのが”クラフトジン”です。
コロナ禍で消毒用アルコールを作り始めた際、再蒸留する技術を身につけたこともきっかけとなり、本格的に開発をスタートさせました。
社長のご子息の出身である大学の醸造学科研究室と開発を行い、ボタニカルの種類、量、漬ける日数など70種類以上の試作を繰り返し、ベストの配合を作り出すことが出来ました。ボタニカルは香りと味のバランスが良い”壱岐産ゆず”のみを使用。数種類のボタニカルを使うのが主流ですが、敢えてシンプルに作りました。
こだわりのボトルは若い人が手に取るデザインを狙い、香水を思わせるようなデザインを採用しました。ボトルキャップは木材を使用し、高級感を演出しています。
八角型のラベルは、壱岐島をイメージしたもの。壱岐島は、昔「生き島」と呼ばれ、勝手に移動してしまうと考えられ、 それを防ぐために創造神は、壱岐が動かぬよう八本の柱を使い鋼で繋ぎ止めたという八本の柱伝説から来ています。(重家酒造HPより)

「麦焼酎のため」重家酒造の新たな挑戦!

開発にかけた思いを重家酒造 代表取締役 横山雄三さんに伺いました。

ーどうしてクラフトジンを作ろうと思ったのですか?
4.5年前からJETRO(日本貿易振興機構)の担当者から「焼酎の輸出が厳しい」という話しを聞いて、何とか状況を打開できないかと模索していました。そんな中、数年前から”クラフトジン”がじわじわと世界的に流行してきました。そこで麦焼酎をもとにした”クラフトジン”を作ることで、”麦焼酎”に注目を集めるきっかけになるのではと考えました。

ークラフトジンを作る上で大変なことはありましたか?
”ジン”はボタニカルにジュニパーベリーを入れること以外に、規定がないんです。周りに作っている人もいないし、情報もほとんどない。何をどれだけ入れるか、どれくらいの期間漬けるか、手探りで始めました。

ー飲まれた方からの反応は?
良いですね。狙い通り、若い方に手に取っていただいている印象です。きっかけはボトルデザインだったり、ジンが好きってことだったり、様々です。「原料は麦焼酎なんだ!!」って気付いて興味を持ってもらえたら嬉しいです。

ーどこで買うことが出来ますか?
島内外の特約店さんで購入いただくことが出来ます。インターネット販売をしているお店も多いので探してみて下さい。

ーおすすめの飲み方は?
ボタニカルである柚子の香り、原料である麦焼酎を味わっていただくために、シンプルにトニックウォーターや炭酸で割って飲むのがオススメです。食後にバーで飲むようなイメージで、ナッツをつまみながら”家飲み”を楽しんでみてはいががでしょうか。

ー他社のGINを飲みましたか?感想は?
飲んでません。手に入りませんもんね。

本格焼酎蔵による新しいアルコール

最近、壱岐では伝統的な麦焼酎プラス新しい流れが生まれています!日本酒やリキュール、クラフトビールまで、種類もさまざま。焼酎はちょっと苦手という方にも好評です。

【日本酒】・・・壱岐は米作りが盛んで、1902年には17蔵もの日本酒蔵がありました。時代の流れから島の酒蔵は減り続け、最後に残ったのが『重家酒造』でした。一度は日本酒造りを断念しましたが、平成30年、”28年ぶり”に日本酒造りを復活!!『横山五十』や『よこやまSILVER』など、人気銘柄となっています。

【ゆずのリキュール】・・・壱岐の蔵酒造の『ゆずりきゅーる』は、麦焼酎「壱岐っ娘」をベースに、たっぷりの天然ゆず果汁と上質の果糖をブレンドして造ったゆずのリキュールです。壱岐の蔵酒造の工場直売所で試飲、購入することが出来ます。

【梅酒】・・・麦焼酎に付け込んだ梅酒は本格焼酎特有の華やかな香りと、まろやかで豊かな味わいが楽しめ、焼酎好きにも梅酒好きにもオススメです。
『重家酒造』の『うめっちんぐ』は、長期熟成させた焼酎で壱岐産のうめを漬け込み、さらに5年以上貯蔵した梅酒。
『玄海酒造』の『和三盆糖の梅酒』は、むぎ焼酎「壱岐」に国産の梅と上品でまろやかな甘みの和三盆糖を加え、貯蔵・熟成させた梅酒。

【クラフトビール】・・・創業130年以上の老舗酒蔵『原田酒造』が歴史ある酒蔵をリノベーションし、2021年5月にオープンした『ISLAND BREWERY』!!ここで提供されるのは、地元勝本漁港で仕入れるイカや魚に合うビールをコンセプトにした”クラフトビール”。壱岐焼酎にも使われる白麹を材料にしています。柑橘を思わせる爽やかな酸味にフルーティーなホップの香りで、今までのビールの概念が覆されること間違いなし!!ぜひ、街歩きと一緒にお楽しみください。

新たな出会いにカンパーイ!!

壱岐麦焼酎はもちろんのこと、クラフトジンにクラフトビールなど。
離島の夜は普段と違ったお酒に挑戦してみてはいかがでしょうか?
新しいアルコールとの出会いにカンパーイ!!

”壱岐の蔵酒造”の「JAPANESE IKI CRAFT GIN KAGURA」、”重家酒造”の「OMOYA GIN」壱岐島のボタニカルが詰まった”クラフトジン”を一度お試しください。

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